「鬼呼びの力は持ち主の気持ちに忠実に反応します。つばきさんが心を寄せる相手が現れたなら、その時には―――」


榊先生が言ってるのはわたしの気持ちと指輪が反応してるってこと。
榊先生の指から指輪が外れてまた小さくなったのはわたしが受け入れてないから……


「つばきさんが混乱してるのはわかります。転校してきていきなり鬼たちの中に放り出されたのですから」

「……榊先生」

「怖い目にあって信じてほしいと言ってもすぐには無理でしょうが、つばきさんの力が呼んだ者たちはつばきさんを傷つけようとすることだけはありません。それはわかってくれますか?」


榊先生の目が優しくわたしを見た。
榊先生がわたしを傷つけたりしないって。
わたしも本能でわかってる。

榊先生は危険じゃない。
鬼呼びの力が反応しただけ。


「つばきさんを傷つけたりしません」