わたしが目を覚ました時には、体から抜けた力は戻ってた。

わたしは自分の部屋にいてちゃんとパジャマを着てベットの上にいた。


「……夢、だったの?」


指先にはわたしの指輪。
指を曲げてみるとちゃんと力が入った。

榊先生が藤先輩を追い返した時に、わたしの隠してたもうひとつの指輪が榊先生の指に吸い込まれた…あれは、夢?

光が弾けた瞬間に吸い取られたように体から力が抜けたけど……


「夢ではありませんよ」

「…榊先生?」


突然の声に後ろを振り向くと榊先生が立っていた。


「つばきさんを、部屋に運んだのはわたしです。すいません、家族にはつばきさんが貧血を起こしたと嘘を吐きました」


榊先生がわたしの手のひらに銀色の光るものを乗せた。


「……わたしの指輪」

榊先生の指に収まったはずの指輪が、わたしの手のひらに。


「これは、つばきさんにお返しします」