漆黒の瞳が声を出したわたしを真っ直ぐに見た。
漆黒だった瞳が透き通るような白に変わって輝いた。
「神梅 白です。よろしく」
かんばい はく?
「神梅くんはオーストラリアから日本に戻ってきました。席は、窓側の―――」
神梅くんはわたしの隣に座った。
ここは鬼しか入れない学校って聞いたから神梅くんも鬼なんだろうな。
「昨日は助けてくれてありがとう」
「俺を呼んだからな」
「……呼んだ?」
神梅くんはそれきり机に突っ伏すと眠ってしまい起きなかった。
次の授業も、またその次の授業も。
「次の問題を、神梅」
数学で問いに答えるように先生が指して、慌てて起したけど問題を見た瞬間に正確に答えてた。
「次の問題、隣の席の天宮」
「あの、えーと、」
『X=2』
隣の神梅くんが教えてくれた。
問題も見てないのに……
答えは当たってた。