榊先生の声に戸口をみると、隣の席のミイさんがいた。
話しかけてたのは見たことない人。だけど、すごく格好いい。
「もう学校来て大丈夫なのかい?傷は痛まない?僕は藤達也。昨日の夜に君に呼ばれたんだよ」
呼んだ?わたしが?
「鬼呼びの力を持つ人間が転入してきたって聞いてたけど、僕が選ばれると思わなかったな」
「……選ばれる?」
「知らないのかい?」
藤先輩が笑うと、黒茶の瞳から輝く紫色に変わった。
紫の光がキレイ……
「藤くん、もうホームルームが始まるので自分の教室へ」
「榊先生も彼女に呼ばれたんですよね?」
そうだった。
榊先生も昨日助けに飛び込んで来てくれたっけ。
先生は何か知ってるの?
「……わたしはつばきさんを家に送り届ける約束をしていたので、たまたま駆け付けることができただけです」
「へえ、そうなんだ?」
くす、
藤先輩が笑った。