大切な指輪。
どうしよう……
泣きそうになったら桜木くんの指が伸びて浮かんだ涙を掬った。
「なんで泣く?」
その瞬間、桜木くんの指から指輪が外れた。
外れた―――ほっとした瞬間、
「おはようございます、つばきさん」
「榊先生、おはようございます」
榊先生が教室に入ってきた。
「泣いてたんですか?」
「ち、違います」
慌てて涙を拭った。
「つばきさん、体はなんともないですか?」
「体?」
「骨は溶けてないようですね。桜木くんがいてくれたおかげかな。よかった」
「骨?」
「わたしもあの場にいたんですよ。昨夜はわたしの他に桜木くんに柊くんがいましたね。それに藤くん」
藤くん?
「つばきさんよりひとつ上の3年生で生徒会長です。噂をすれば彼です」