昨日の夜に、柊くんが来てくれたのって偶然じゃなかったんだ。
榊先生や桜木くんもその力によって呼び寄せられたんだ。

昨夜、わたしを襲ったのは赤い目をした階級下の鬼だって。
階級は目の色でわかるって。


「鬼呼びの力、もしかすると呼び寄せるだけじゃなくもっとすごいのかもしれないよ」

「……どんな?」

「思うがままに操れるとか。」

「まさか」

だけど、きっと転入させた理由があるんだって、柊くんが笑った。


「着いたよ」

校舎前には同じように黒塗りの高級車が停まってた。

中から出てきたのは、桜木くん。


「あんた、身体は?」

「え?」

「いや、なんともないならいい」

それだけ言うと背中を向けた。

あ。昨夜襲われたわたしを助けに飛び込んでくれたんだっけ。

そのまま去って行こうとする背中に、「助けてくれてありがとう」って言ったけど振り向きもせず行ってしまった。