「あら。確か柊くんだったわね。つばきを迎えに来てくれたの?」

え!?


「つばきったらまだパジャマ姿なのよ。家に上がって待っててね。どうぞ」


そんな声が聞こえたから慌てて二階へ。
慌てて制服に着替えてリボンをつけた。

ブレザーに袖を通すとサイズは同じだったけどわたしの制服じゃないのに気づいた。

わたしの制服の内ポケットには小さな指輪を縫い付けてあるの。
亡くなったおばあ様からもらったふたつの指輪のうちの片方が。


「……ない」

無くしたらだめよって。
誰にも指輪を持ってることは知られてはだめよって言われてたのに。


「……ない、どうしよう」


きっと、昨日の夜に襲われたのって本当のことだったんだ。

あの制服の内ポケットには大切な指輪が入ってたのに。