「椿、君がどう言おうと俺たちは決めたんですよ。

あの女が護ったものを、壊すと」





「き、く…あんた…!!」





「だから手始めにナミさんの"力"が必要なのです。

ナミさんの力…それは魔力と、


人間界でも通じる、不思議な力。

龍蛇神の力…あなたの巫女の力は本物なのですから」




「でも、私はみんなを…!」




「巫女の力を開花させるにはあなたの村では無理だったようですが。

この世界で魔法使いとしての力を発揮した今、巫女の力も生まれているのはもう分かっています」




ナミ…お願い、逃げて…!



私の体…早く、動いて…!






「…椿、沙羅の護ったものを護りたいのならば。

また、あの悲劇を起こしますか?」





菊が近づいてくる…お願い、ナミ、逃げて…!



みんな、逃げて!!





私だけが…この先を知っている。



この先に待っているのは…!





「悲劇か喜劇か。どちらの劇を見たいのでしょうね、みなさんは」




俺は、と菊が続ける。




「自分が喜劇と思った方を、見たいですから」





菊の手が、ナミに伸びる。



ナミは…なんで、動いてない。



けど、私も動けない!




「俺の味方に、動きを一時的にですが止められる人がいますからね」




お願い、動いて…動いて……!




…もう、悲劇は、



繰り返したくない…!!