突如としての静寂。


その静寂を髪を振り乱して破ったのは桜だ。


「答えは!正解は何だったんですか!?」


守、哲夫、修二の3人の顔を今までした事もない鋭い目で睨み付け、そう訊いてくる。


先程のおどおどとした雰囲気とは全く違い、逆にその余りの迫力に守の肩がビクッと揺れた。


桜の豹変振りに驚いたのは守だけでなく哲夫もだったらしく、

「あ、あー。せ、正解はサバイバルナイフだよ。先端に真っ赤な血が付いたね」

慌ててそう答える哲夫には、最初からあった落ち着きが少し消えていた。


哲夫の答えを聞いた桜がギリッと唇を噛む。


そして、

「そ、…そんな……。だって、電池を使うって……。だって、……だって……」

そうボソボソと呟き始めた。



電池を使う……って何だ?



そう思って首を傾げる守。ただ、桜の呟きの意味を分かっていないのは守だけだ。


「何で、嘘……吐いたんだい?彼女に恨みでもあるのかい?」


突然守へと真剣な目を向けてそう訊いてくる哲夫。


だが、守はそれすらも意味が分からない。



俺が、……嘘を吐いた?



「俺は嘘なんて……」


そこまで言って守は口を閉じた。


気付いたのだ。自分が仕出かした失敗に。


桜が訊いてきた質問は『電池を使いますか?』というもので、それに『使う』と答えてしまっていた事に。