その時、自棄に左手がひきつる感覚を覚え腕に目を向けると点滴の針が刺さっている。針に繋がれた管を辿っていけば、長い棒に吊り下げられている透明の液体が入った袋。
おそらく水分や栄養補給を目的としたものだろう。
無機質。
だが、外の見える部屋。
ここは、……病院か。
そんな事を考えている修二の隣で、母親は慌てた様子でナースコールを押し、修二が目を覚ました事を伝えている。
そんな母親を尻目に目を細める修二。
何で生きてるんだ?
何で、拳銃で撃たれた筈の胸が全く痛くないんだ?
そんな疑問が頭を占めているのだ。
1分程すると、バタバタバタっという足音が病室の外から聞こえ、バンッと勢いよくドアが開かれた。
と、同時に「修二!」、「お兄ちゃん!」という大声が響く。
修二の目に映るのは泣き出しそうな顔をした父親と、もう既にボロボロと涙を流している弟のカズキ。