「う、うわぁぁぁぁぁあ!!」
5角形の部屋に戻ろうと、ドアを開け一歩進んだその時。目の前に広がった光景に哲夫が大声をあげた。
その声を聞いてか、
「どうかしましたか!?」
慌てた様子で修二が部屋から飛び出してきた。
急いでこの部屋に入ってきたからか、修二の鎖の音が自棄に煩い。
が、哲夫はそんな修二に顔を向ける事なく、スッと目の前の由里子の遺体の上に仰向けで乗せられている桜を指差す。
両方の眼球を抉り取られ、胸を鋭利なものでひと突きにされ変わり果てた姿の桜。
見ただけでも分かる。もう息はない。
「これって……」
桜の変わり果てた姿を目にした修二の僅かに震えた声に、一瞬哲夫の口角が上に上がった。
怖がっている。
その様子を肌で感じるだけで、哲夫の全身が高揚する。
「ああ。桜さんだよ」
修二の言葉に答えるも、高揚感は高まるばかり。
こんな気持ちは13年前以来だ。
そう感じると思わず笑みが溢れそうになるのを必死に堪える。