「ふーん、女子は押しに弱いんだ。覚えとこ。」


「うっわ、なにニヤけてんの？」


３時間目の授業の後、俺(北ヶ谷 楓)は携帯でサイトを見ていた。どうやら、夢中になりすぎて一人でニヤけてしまっていたらしい。俺の親友であり、幼馴染みでもある永倉 優がちょっと引き気味に話しかけてきた。


「うっそ、俺そんなにニヤけてた？」


「うん、ちょっと……いや、めっちゃキモかった。」


さすがに、落ち込むわ。そんなキモかったか？俺。ま、キモいのは否定できねーなモテないし。


「そんな落ち込むなよ楓、どうせカッコつけててもモテないんだし。」


自分で言うとムカつかないのに、他人から言われるとムカつくな。


「おい、それフォローになってねぇぞ」


「え？フォローしてねーもん。」


俺、泣いていーかな。


「ってか、あのさ……。」


すると優がさっきのふざけ口調ではなく、まじめな口調で話し始めたので、俺は開けていた口を閉じ、黙った。


「お前、今日相沢 陽菜に告るんだろ？言葉考えてきた？」


突然言われたことに、俺はドキッとする。そうだった、今日告るんだった。忘れてたよ俺、やべーよ俺。何も考えてねぇ。


「……なんも、考えてない。」


「はぁ？どーすんの？今日は、あいつ部活ないからチャンスって言ってたじゃん。」


そうして俺は、相沢 陽菜のあの笑顔を思い出す。