それからあたし達は後夜祭そっちのけで、お互いの過去のことを語り合った。

あたしは心のメモに書いていった。

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・隼田くんは以前いた高校で学年上位に入っていたらしい。
・隼田くんはやっぱりモテていた。
・部活は変わらず帰宅部。
・恋はここへ来るまでは一度もしたことなかった。

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他にもたくさん語ってくれた。

『初恋は木下だよ』って照れながら言ってくれたときは顔の形が崩れるほどおかしな状態だった。

またキスされそうになったけど。
全力で拒否っちゃったけどっ。

いまはもう十分かなって。


はたから見たらピンク一色のラブラブカップルに見えると思うんだけど、
お互い共有できて分かり合えた素敵な時間だなって思った。




──これからも変わらず一緒にいれたらいいな。

横で突っ伏して寝息をたてている隼田くんをみながら思う。
顔は見れない方にあるのが残念だけど。
そーっと髪の毛に手を伸ばして撫でる。
サラサラしたとても質の良い髪。



「……隼田くん、ありがとう」

好きだよ。これからも。
聞こえちゃってるかな?隼田くんエスパーだから。
それでも、聞かれてもいい。

やっと気付いたから。
あたしはあたしのままでいいんだって。
『木下らしい』ってそういうことなのかな?

……違うか。
どっちにしろ隼田くんが言ってるんだ。そういうことにしとこう。


サラサラな髪を弄っていると「ん……」と薄目を開けて、こちらに顔を向けた。
慌てて手を引っ込め、あたしは何もしてないフリをする。

視線が合うとお互いふわっと笑みを交わす。

それを合図にしたかのように外から大きな音が轟いた。