私は、その後の授業をサボることにした。
一時間でもいいから心を落ち着かせる時間が、ほしかった。
屋上にいき、風にあたった。
【慧くん、付き合ってるって。】
その言葉だけが頭をぐるぐるまわって…
【しーちゃんのクラスの高瀬すずって子】
高瀬すず…。そーいえば、いたっけな。
2、3回話した子がある子。
笑顔が可愛くて、憎めない性格っぽかったかな。
慧くん、あんな可愛い子と付き合ってるんだ。
いつ、知り合ったのかな。
いつから、付き合ってるのかな。
どっちから告白したんだろ。
今、うまくやってるのかな。
考えるのは慧くんのことばっかで。
慧くんの幸せが一番なのに、今は、その幸せがとても憎い。

気づいたら涙でてきてたや。

心でぼそっとつぶやいて、「ふぅー」って背伸びした。
たまにはいいね。こーゆう息抜きも♪

「たまにはいいね。こーゆう息抜きも♪」
あれ。声に出しちゃってたわ(笑)
…って、うちの声じゃない!?
「もしかして…同じコト考えてた?それで、心の中で思ってただけなのに、声に出しちゃってたーみたいな?」
ビクッっっとして声をたどっていくと、そこには見覚えのある顔が…
んー。

あ。佐木涼介!!
「その顔だと、いま僕の名前思い出してたでしょ?」
この人、超能力の持ち主か…?
「その感じだと、図星だね」
「…。」
「なんか喋ったら?平野織音さん♪」
「な、なんで私の名前しってるんですか?!」
「そりゃぁわかるに決まってるじゃん。同じクラスメイトなんだもの。
平野さんだって、俺の名前、わかるでしょ?」
「さ、佐木くん。ですよね?」
「あったりー!!」
こうゆうひとが、モテるんだな。
なんか、他の人とオーラが違うもん。
「平野さん、なにかあったの?」
急に佐木くんの顔が近くなり、テンパる。
その時、佐木くんの顔もちょっと桃色に染まっている感じにみえたのは気のせいかな…?
「なにかあったっていうか、、、」
「失恋。したの…?」
「……ッッッ!!////」
率直にいいすぎ!
あまりにもスポッてあてすぎ。
多分いま顔真っ赤だろうな。
「顔…真っ赤だよ?」
やっぱり。
「な、なんでわかったのですか?」
「だって平野さん、授業中とかいっつもほうずえついてキラキラしてるよ?
俺それみて、あぁ。好きな人いるんだーって思った。」
「えー!?まぁ、わかっちゃったなら、それでいいです。」
「俺、相談に乗ってあげようか?そのかわりに、交換条件。俺の相談にも乗ること。」


彼からでてきたその「交換条件」は正直わたしにとって必要なものではなかったのかもしれない。
でも、その時の私は、慧くんに失恋した悲しみを言える仲間がほしかったんだとおもう。
だから、「相談」なんていわないで、話を聞いてくれればよかった。

それ…だけなのに…。