−涼介−mesen

赤く腫れた目をこする彼女に、俺は
「公園でやすもうか?」
と声をかけた。

…。
彼女は、平野織音。俺の好きな人だ。

買い物の帰り道。
泣いている彼女を見た時はとても驚いた。
でも、理由はすぐにわかったから…。
「織音ちゃん…?」
目をこすりながら顔をあげた彼女は、なんだかとても切なかった。
またやっちまった。助けらんなかったな。
無理して笑ってるのも、すぐにわかった。
やべぇ。すっごく抱きしめたい気分。
俺。ドエスだな。
確か前もこんなことあったかな。
多分、今までは作り笑いだとばれたことがなかったのだろう。
織音ちゃん、俺のこと相談相手ってわかってんのかな。

なんてそーこうしているうちに今に至るわけだ。
「私。すずちゃんといる慧くん見た時、なにがなんだかわかんなくて…」
織音ちゃんの背中をさする俺の手がとまる。
「慧くんのこと、なんにも知らないんだなぁって(笑)じゃましてごめんねなんていっちゃって作り笑いしてさ…」
笑いながらいう織音ちゃん。
「織音ちゃんはさぁ、なんで慧のこと好きになったの?
そんな、そんな悲しい笑顔になるために好きになったの?」
「それはちがうよ!慧くん好きでいて後悔したことなんて一度もない。慧くんがいるからいっつもがんばれた。だから…慧くんにはっ……」
「もういいよ。ごめん。俺、変なこと聞いた」
ほんと、俺何やってんだ。
「さ…きくん。」
「…ん?」
「ありがとう」
ドキーッ。
上目遣いで俺をみるなー
やばい。可愛すぎる。
「じゃぁ、私、帰るね。」
「え。あぁ。うん!慧のこと、応援してるよ。がんばれ」
「…うん!」
俺、なにゆってんだ。
応援なんか…したくねーのに。