この黒猫、くーちゃんも飼い猫なわけではないのだ。


約半年前、家の庭に咲いている桜の木の下でくーちゃんが昼寝していたのである。

人に慣れているのか近づいても撫でても逃げない、むしろ甘えてくるので愛着が湧いてしまい名前までつけてしまったのだ。


くーちゃんは綺麗な黒い毛に鋭い目、シャープな顎をしていた。


「くーちゃんが人間だったら絶対にかっこいいだろうね。次生まれる時は一緒に猫に生まれようね」


くーちゃんにいつもいつも言いかけていた。
そのたびに膝の上でにゃーと鳴いていた。

言葉を理解しているわけないのは分かっていたのだが、くーちゃんが、叶えてくれるとワクワクした。