「……なんだ。忘れ物か?」 当麻が体を起こして優衣をみる。 甦る。叶亜の言葉。 顔が赤くなるのを見られないように、優衣はビターチョコアイスを当麻に渡した。 「……ビターチョコアイス?食べていいのか?」 「はい。半券くれたお礼に」 当麻が顔を輝かせて、アイスを食べ始める。 それがやっぱり幼い子供にみえて、優衣は笑ってしまった。 「私も食べよーっと」 ビターチョコアイスをかじると、甘くてほろ苦い、恋の味がした――。