アウゼの表情が、焦りに変わる。

「あ、あの…?」

何事かとエドワードに訊ねる。

「お騒がせしてすみません、楓様。
アウゼ様が公務を途中で放り出して
部屋を出ていくものですから、こうして
探していたのです。」

途中で放り出して!?

「で、でも、アウゼは仕事はもう
終わったって…。」

「いいえ、全く終わっておりません。
書類のサインに会議への出席、
報告書をまとめて極めつけは反乱軍の
対策を……」

「分かっている。少し息抜きしただけだ。
すぐ戻る。」

わぁ…。王族って大変なんだぁ。
本物の姫じゃなくて良かった。

「分かりました。
…ところで楓様、何故図書室に?
失礼ですが、楓様にはあまり必要ないと
思うのですが。」

…………エドワードまで、私をバカにするの?

「た、たまには勉強にしようと思ったの!
別にいいでしょ!?」

「はい、構いませんが。
もうすぐお茶の時間ですので、
お早めにお切り上げ下さいね、楓様。」

「う、うん…。」

その後、エドワードはアウゼと一緒に
部屋に戻った。

(なんとか誤魔化せたぁ~!)

アウゼに無理やり連れていかれそうになった時はどうなるかと思ったけど、エドワードのお陰で助かった!

って、のんびりしてる場合じゃない。

早く調べないとエドワードが来ちゃう!

「まずはこの棚からかな…。」

さっそく資料探しに取りかかった。