1997年、8月11日。私は産まれた。
この季節にしては珍しく涼しい日だったらしい。
お母さんは私を産むのに約8時間かかったらしい。
今から考えると申し訳ないと言う気持ちだが、当時の私はそんなもの知ったこっちゃなかった。
お母さんは、優しい夏に包まれた、暖かい人になってほしいと願い、私を優夏と名付けたと話していた。

当時の私は、お母さんが居ないと泣いている子だったらしい。
お母さんは、あまりの寝れなさに、ノイローゼになりかけたと知ったのは、ずいぶん先の事であった。