声が出なかった。


友達だと思ってたから。


今までも。


これからも。


「そんな急に…」


「急にじゃない。もうずっと前から、俺は友達なんて思ってなかった。ずっと好きだった。」


その時の真下の目が、今まで見たことない程真剣で。


私は目を合わせられなかった。


「困らせてごめん。でも、これが本当の気持ちだから。もう、帰っていいよ。」


真下の低い声は、少しだけ震えていた。


複雑そうに苦笑いした真下が自分と重なって。


何だか胸がズキンと痛んだ。


友達って言葉でどれくらい傷つけてきたんだろう…


そう思うと真下に悪くて、何とも言えない罪悪感を感じていた。


キーンコーンカーンコーン


静かな教室に、下校時間を告げるチャイムが鳴り響く。


気まずい空気にたえられず、私は何も言わずに教室を出た。