(──家が隣って……なんて最悪の日なんだろうか)

と、私は玄関で呆然と立っていると

「あ、茜おかえりー」

私はペンを取り出しノートに

〈ただいま〉と書いた。

声がでない私は普段ノートに文字を書いて

相手とコミュニケーションをとっているのだ。

「もうすぐ夕食だから、手洗ってきなさい」

私はコクリと頷いた。

手を洗い終えた私は今にあるテーブルの前に座った。

今日のご飯はカレーライスだ。

「茜~、お母さんお隣の八雲さんとは昔からの友達なんだけどね」

とお母さんは当たり前のことのように話し始めた。

(…いや……そんなの初めてきいたよ!)

「その八雲さんの息子さんが、蓮君があと一年で死んじゃうらしいんだ…」

(───えっ、嘘……そんなはずがない)

私はすぐさまノートに

〈そんなはずはない、そういう冗談はよくないよ〉

と書いてお母さんに見せた。