「あとひとりか…」

あたしはさっさと決めて帰らせてほしかったけど、隣で手を組んで祈っているマリを見ると、"奇跡"が起きればいいのに、と思った。
すると、スーツの男が歩き出した。


え…?
もしかして…



「きゃーっ!!!つ、つぐみ!
あのひとこっち来るよ!」




彼はあたしたちが立っている方向へ、やわらかく微笑みながら近づいてきた。