闇に染まった真実。



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「…お前なんてうまれなければよかったんだっ!」



っは…!うっ、イヤッ…やめて…!



「お前なんてイラナイっ!」


いやっ…嫌だ嫌だ嫌だっ…

「イヤァァァァァァッッ!!」



うぅ….っはぁ、はぁ…



今日も、か。



カーテンを開けるとまだ空は暗くて。窓を開ければ少し冷たい風が吹いた。


髪は汗で額にべったりくっついて、体は小さく震えて。



もう寝れそうにないな…。




諦めて、シャワーを浴びに浴室へ向かう。少しぬるめの水が冷たくて心地いい。



昨日も入ったから、軽くでいいや。そう思い手早く済ませる。



…正直お風呂は好きじゃない。私の体は汚くて。体中に痣や傷がびっしり。お風呂に入れば嫌でも思い出してしまうから。



こんな悪夢のあとなんかに、本当は入りたくないけど。



















お風呂から出て、制服に着替える。


私が通う学校は桜ヶ丘高校という、いわゆる不良校。



大して頭が良いわけではない私は、制服が可愛いという事だけで選んだ。



別にどんな不良がいても、大人しくしていればいいやとか適当な事思って。



それに、小さい頃から友達ができた試しがない。というかそれも面倒だったんだけど。



髪を乾かしながらぼーっと考える。



…あーあ。何で暴走族なんて入っちゃったんだろうなぁ。あんなに人と絡むの怖いって知っていたのに。




人は絶対裏切るもの。小さい時からこれだけは心に刻んでたのに。



何で、信じたりなんかしたのかな。



結局捨てられて。



馬鹿を見たのは私。






あー、学校行きたくないな。


私の名前は黒瀬栞。


私はまだ1年で、高校に入ったばかりなのにもう早く卒業したいほど嫌だ。




まず、授業なんて授業になっていないし。もう少しいいとこ入っとけばよかったなんて、後悔しかしてない。



それに、あの日まで白牙という族で姫をやっていた。



初めての優しさに触れた私はあっという間に騙されて。


今、冷静になって考えると本当に馬鹿だなぁって。





もう、ため息しか出ない。








少し茶色がかった髪をストレートアイロンで整える。元から色素の薄い私は瞳も茶色くて。


中学校の時、怒られたっけ。



はぁ。行きたくないな、学校。そう思いながらもゆっくり準備を始める。




学校行かなかったら、逃げたとか言われそうだし。




そんなの周りから見たらどうでもいいのに変な負けず嫌いな性格のおかげで毎日学校には行っているけれど。



本当は辛い。




あんな奴らを信じてたなんて、気持ち悪くて。それに、何されるか分からない。











ふと、時計をみると時計は8時15分を指していて。



やばい、遅刻するっ!


わたしは急いで準備をし、玄関を出た。




朝ごはんはいつも食べない。…いや、食べられなくて。



数年前からもうこんな生活だから、お腹もすかない。



学校からはそんなに遠くない。



遅刻しそうだっていうのに、足取りは重くて。体もなんだかだるい。




あ!遅れたら、余計クラスで浮くじゃん!


それだけは絶対に避けたい。無理矢理に足を進めた。







ふぅ。なんとか間に合った。



───ガラガラッ


教室のドアをあけると、クラスが静かになった。そしてすぐ煩くなる。



ほら。この空気が嫌いなんだよ、私の事嫌いならほっといてくれればいいのに。



「よく学校来れるよね。」



「ね。白牙の皆様を裏切ったくせに!」


「まぁ、うちは前からきらいだったけどねー!」



…自分の知らない噂がどんどん広がっていって。

しまいには全校を敵にまわして。



自分の首をゆっくり締められていくような感覚で。



ドアの前で立ち止まっていた私は、ゆっくりと席に向かっていった。