ああだこうだ言ってる間に突き当たりまでやって来たようだ。


目の前には外へと通じる非常階段を示す看板の緑の灯りが昼なのにも関わらず灯されている。


この辺りは空き教室になっており、お店もないために人もほとんどいなかった。



「つーか、もうそろそろ12時だから交代の時間じゃね?」



影山修二は自分の腕につけてある時計を確認する仕草をみせる。



「じゃ、そろそろ戻ろ……」



そう言いながら踵を返し、ふと左にある空き教室の半開きになったドアを横目に見た。


そこにはうちの制服を着た女子と男子の姿があった。



……あらやだ。こんなところで抱き合っているではないですか。

学校内でなんてハレンチな。



しかも、上履きの色からうちの学年だ。


誰なんだろう。


私はただの興味本位で顔を見ようとしてしまった。


そして、顔を確認した瞬間、自分が興味本位で覗いてしまったことに激しく後悔をした。


だって、それは





まさしく私が探していた


藤くんと佐伯さんの姿だったから。