「影山修二はさ、愛想よくするとかないわけ?」



私は影山修二を取り巻くお客さんがいなくなってから声をかけた。



「あ?なんで他人にそんな気を遣わなきゃなんねぇんだよ」


「そりゃそうかもしれないけど、これじゃお客さん来てくれないじゃん」


「お前よりかは十分宣伝できてると思うけどな」



うゔ……確かに今私は人に囲まれることもなく、ただ看板を持って歩いているだけだ。


その点、影山修二を取り囲む女子は一応ヤツに興味を示しているからこそ一応宣伝にはなってはいるかも。


なんだこの敗北感は。


図星なだけに言い返すことができない…



「……おモテになっていいことですね」



ない頭を搾り出した結果がこの言葉だった。



「なに?今度はヤキモチですか?」


「ヤ、ヤキモチって!そんなんじゃないし」


「俺がモテてしまって悪いね」


「別にモテても関係ないし」


「自分がモテないからってひがむなよ」


「ひ、ひがんでなんかないから!!私は別にモテようなんて思ってないし。私は一人の大好きな人から愛されればいいの」


「……ふーん。一人からねぇ〜」


「そ、そうだよ。何か異論があるの?」


「……べっつにー。その大好きな人から愛されればそれでいいんでないの?愛されてれば」



影山修二は私と藤くんのことを分かっていてそういうことを言ってくるのだろうか。


私の傷口を簡単にグイグイと抉ってくる。


いつもならこんな悪態のついた言葉、全然痛くも痒くもないけど。


心が弱っている今は考えたくないことを考えてしまいそうだ。