「かっ影山修二こそ、こんなちっこくて、憎ったらし……じゃない可愛い弟がいるなんて知らなかったし」


「まぁそりゃ言ってないから」



そりゃそうだけどよ。おい。



「弟とは仲良しなんだね。こんな花火大会まで一緒に来て」


「ん、まぁな」



それから影山修二は無言になった。


沈黙のまま、たくさんの人達が私たちの目の前を通過する。



「俺んち、父親いないからさ」


「……え?」


「で、母親は俺たち食わしていくために朝から夜遅くまでずっと働いてるから」