だがあくまで大人な私はそんなことでは怒らない。
笑顔で対応する大人な私。
なんてステキ女子。



「名前なんて言うの〜?」


「知らない人には名前教えちゃダメって言われた」



……最近のガキは捻くれてやがる。



「プッ、ガキにまでそんな扱いされてんの?お前」


「………」




二人の会話の流れから名前は隼人(はやと)くんと言うことを知った。
ちなみに5歳の保育所の年長さんだそうだ。
それにしても。

私はチラッと私の横で隼人くんとじゃれあっている影山修二を見た。

笑っている。
あの影山修二が悪巧みの笑顔ではない無邪気な笑顔を見せている。

学校では見せたことのない笑顔。

私はいつもと違う影山修二の一面に、不覚にも少し胸がときめいてしまった。

すると私の視線に気付いたのか、影山修二が私に訊ねてきた。



「ところで今日は何?その気合いが入った格好は。藤とデートでもしてたの?」


「えっ?あぁ」



そう言えばお色気浴衣だった。
藤くんには七五三と言われたが。



「藤くんと………………その他大勢と」


「で、なんで一人なの?早速振られた?」


「振られてな「振られた〜振られた〜♪」



隼人くんが面白がって影山修二の言葉をリピートしている。



影山修二弟…ウザいんですけど。