「だから付き合ってないってば」


なんだ、コイツのしつこさは。
本当にウザいんだけど。


そして、そして。
目の前には二人仲良く歩く藤くんと佐伯さん。
それはまるで恋人のよう。


これは真夏の拷問なのだろうか。



「じゃあさ、俺と付き合う?」


「はっ?」


「今俺、ちょうどフリーよ?」


どうどう?なんて言ってくるチャラ浜井。自分をどれだけ優良物件だと思っているんだ。



「あの「おい、浜井コイツはやめとけよ」


藤くんがこちらを向いて話を遮った。



「コイツ、バカだからそんなこと言われたらすぐ本気にするぞ」



「バッバカって!」



「そうだよ〜!それに美波ちゃんは付き合ってる人はいないかもしれないけどね、好きな人はいるんだよね〜!」



さささささささ佐伯さん。
あなた、何今すごい爆弾をぶっこんできたのでしょうか??



「へーそうなんだー」


と白々しい声を出し、何やら悪巧みの笑みを浮かべる藤くん。



「誰?」


「ええっ?」


「誰って訊いてんだけど。言ってみ?」


藤くんが、それはそれは子供が珍しいおもちゃを見つけたような目をして、口角を上げながら、私を問いつめる。
ってかアナタ知ってるでしょ!


私は真っ赤な顔をして藤くんを見つめる。


「それは内緒だよね〜美波ちゃん」



後ろにハートマークをつけながら首を傾げ、私に話しかける佐伯さん。



「え〜、そうなんだ。残念〜。で、誰なの?やっぱ影山?」



相変わらずしつこいチャラ浜井。




誰か



誰か






この無法地帯をどうにかしてくださいーーーー!!!