自分の妄想に毒されてぐったりしていると、目の前にはいつのまにか斉木くん。


一応、笑顔で取り繕う。

「忘れ物、あった?コーヒー大分適温になったから、わたしここからは大丈夫。ありがとねー、お疲れ様ー」


言いながら、コーヒーを取ろうとする……のに、取れなかった。


正確には、取ろうとした手首を強く捕まれて、コーヒーまで、たどり着かなかった。


「……?斉木、く……」


手首を掴む力は物凄く強くて、そのまんま、
抱き締められるような格好で、ベンチに仰向けに倒される。


いやいやいや、ちょっと。


なにしてんの、ちょっとーーーーーーー!!!


かなり激しくもがいているつもりだけど、上に乗った斉木くんはびくともしない。


「ちょっと!変な冗談、やめて!!ここ、会社だよ!!」


言いながら、ミスに気づく。


「会社じゃなければオッケーですか?」


耳元に重く響く斉木くんの声。