斉木くんは楽しそうに、同期の失敗談などを話しながら歩いていくのだけれど、まったく頭に入ってこない。

……何が、目的?賭けはどうなったの??


「あ!」


エレベーターを前にして待つ間に斉木くんが声を上げる。


「ヤバい、忘れ物した。ちょっと取ってきます」


ここは1階。


わたしのフロアは4階。


斉木くんのフロアは2階。……てことは……


「階段で行くんでしょ?ありがと、コーヒー」


コーヒーを受け取って解散だね。


もう、変に意識しちゃって、バカみたい。
斉木くんにも失礼だよ。


「いや、すぐなんで、取ってきます、それから運びます、これ結構熱いし」


「いや、いいよ、別に。もうエレベーター乗ればすぐだから、ありがとう」


何故かカップを取り合うわたし達。