「なんか、あの時すっげー酔ってて。会社まで押し掛けるとかあり得ないっすよね」


「ていうか、斉木くんこんな遅くまでどうしたの?」


うまく話せない。微妙に会話が噛み合っていないけど、そんなところまで気が回せない。


「あー……」


気まずそうに頭をかく。

こうしていると、ちょっとチャラくてかっこいいいつもの斉木くん。

あんな話をしていたのが、嘘みたい。


わたしの聞き間違いだったんじゃないかとすら思えてくる。


「遅くまでいたら、那奈さんに会えると思って……」


……ん?


「あ、持ちますよ、コーヒー」


ひょい、とわたしの手からカップを二つ取り上げる。


そして、並んで歩くわたし達。


なんか、変なんだけど、この空気感。