「あら……」

彼と抱き合ってた女の子が、あたしを見て唇を引き上げる。

「あなたが、ナナさん?フフッ、ごめんなさい……彼、淋しがり屋だから」

「やめろよ、有紗」

アリサって名前が凄くよく似合った美人だった。

あたしはスーパーの袋を台所のテーブルに置くと、そのまま玄関を飛び出した。

「待てよ、ナナ!!」

「蓮っ!!」

彼のあたしを呼ぶ声と、彼の名を呼ぶ彼女の声とが聞こえたけど、あたしはエレベーターに飛び乗って、扉が開くと同時に走り出した。

どうして?

どうして!?