「ナナ、俺、用事があるから先に帰ってて」

放課後、山内君があたしのクラスにきてそう言った。

「分かった」

真央はバイトだって言って、チャイムと共にダッシュで帰っちゃったし……。

まあ、ゆっくり帰るか。

ママはまだ当分帰れないって連絡してきたし、家の掃除でもしよっかな。

少しは綺麗にしてないと。

心配かけちゃってもいけないもんね。

あたしはそう思いながら、校門を出た。

すると、スマホが鳴ったの。

あ、山内君だ。

『ナナ、悪いけど暇なら明日の朝食の材料買っといて』