「……景斗の予想は、当たっていたのかも」
「え?」
何のことを言われたのか分からなくて、景斗は聞き返した。
ユウはなんだか言いにくそうに、目線を漂わせている。

「なんのこと?」
「……写真、HARUの家にあった……」
ユウの呟きから景斗は必死に記憶を辿る。やがて思い当たって「あ、」と小さくうめきを漏らした。

「もしかして、写真立てにあった子どもの写真のこと?」
「うん」
ユウは頷いて、目を伏せながらへらっと笑った。
「やっぱり結婚してた。バカだよね、ちょっと考えれば分かりそうなことなのに、考えたこともなかった」

「……」

まさかという驚きもあったが、何と声をかけたらいいのか分からなくて。
黙りこくってしまった景斗にユウは「大丈夫だよ」と眉尻を下げて微笑みかけた。

ユウの笑顔が痛い。
大丈夫な訳がない。分かっている。

だが自らユウと距離を置こうとした景斗が、今さらどんな言葉をかけてやれるというのか。もはやその資格もない。
上っ面な慰めだけ口にしても何にもならないことを知りながら、それでもそうするしかなくて、景斗は自分が酷く嫌なやつに思えた。

そして同時に込み上げてくる怒り。
そもそも悪いのはHARUだ。
結婚しているくせにユウに対して気のある素振りを見せるなんて、一体どういうつもりなのだろう。