一週間経った。
函南君とは、未だに一言も話していない。
なんて、声をかければいいかわからないから、お弁当の時間も、下校の時も、おはようや、ばいばいの挨拶さえしていない。
というか、あんなふうに函南君に嫌われてしまった今、何事もなかったふうに話しかけるなんて、そんな無神経な行動に出る勇気はない。
どうしていいか、わからないんだ。
あれだけ函南君に話しかけまくっていた清花が急に、大人しくなったのに気づきながらも、周りの友人はあえて触れないようにしていた。
そんな折に受けた、数日前の検診の時ーー。
『呼吸音に交じる雑音が、大きくなってるね。…季節もあるけど、免疫力も下がっているみたいだ。』
お医者さんが聴診器を清花の胸に当てながら、難しそうな表情で言う。
免疫力…。
免疫力って精神状態も関係するって聞いたことがある。
……函南君とあんなふうになっちゃったから、元気なくなっちゃったのかな…。
『………そうですか。』
ここ最近、確かに弱い薬じゃ発作を抑える力が弱い気がしていた。
また、強い薬になるのかなぁ…。
憂鬱そうな清花の表情を見て、お医者さんは優しく笑った。
『一段階だけ、強い薬に切り替えてみようか。
それでしばらく、様子を見てみよう。』
一段階、強い薬なら、今の薬と副作用もそう変わらないはず。
少し、明るくなった清花を見て、だけどと念を押す。
『くれぐれも、激しい運動…
ダンスとかは、控えて。
お友達も心配してるみたいだし…、
なるべく、体を休めるんだよ。』
あれ…。
先生、私の友達の誰かを知ってるの…?
私も言った覚えはないんだけどなぁ。
少し疑問に思いながらも、幼い頃から信頼している先生の心強い言葉に、清花は微笑んだーーー。