「思いっきり戦ってみればいいと思うの。
それがどれだけ無様だったとしても、少なくとも、ああ、あの時あぁしとけば良かったなんていう後悔はしないはずだよ。
私はたくさん、戦ってみたよ。
病気とか
それに負けそうな自分自身の弱さに。
今もね、病気は完全に良くなってない。でも、それが負けてるってことにはならないと思ってる。
だって、今まで踊ることができて、
家族と過ごすことができて、
友達とはしゃぐ事ができて、
函南君とも会えた。
だから、私は病気なんかに負けてない!むしろ勝利を収めたと思っている!
だって私、今まで生きてきて、いつ死んだって後悔しないくらい幸せなんだよ。
…函南君がひとり、全てを背負うなら何もかも平和におさまるかもしれないね…。
でも、函南君は本当にそれでいいの?
それが、函南君の幸せなの…?」
ぴくん、と函南の体が揺れる。
体がほんの僅かに揺れて、でも堪えて。
清香はそっと、その背にそっと手を置く。
彼の頑なな心に、どうか届いて欲しいと思って。