心地よい涼やかな、落ち着いた声。
振り向くと、彼女が去った後も、そこから動かない函南君がポケットに両手を突っ込んで。
涼やかな瞳で清花を見ている。
ように、見えたのにーーー、
笑っているのに、泣いているみたいな顔。
函南君はなんで、そんな無理して笑ってるの。
なにに、君は苦しんでいるの。
お願いだから…、
「覗き見か?趣味わりぃー。」
そんな悲しい顔しないで。
君はいつも自分の感情を表に出さないね。
だから、
頑固に、絶対に泣いたりしないから。
君を見てる、私が泣きそうになるんだ。
「一緒に、帰らない?」
そう提案した清花に、函南君は拒まなかった。