なにか言われるたび、大丈夫だよ、まだ踊れるからって言ってきた。
悲しみを悟られないように、必死に笑顔を張り付けてきたけれど。
でも本当は、誰かに求められたかった。
踊って欲しいって言って欲しかった。
どんなに体が辛くても、それ以上に踊ることが大好きだったから。
どんなに望まれなくても、それが悔しくて悲しくて堪らなかったとしても。
どうしても、踊ることから離れられなかった。
それくらい、踊りは生きがいだった。
葛藤していた。
ずっと誰にも言えずに、
苦しんで。
こらえていた。
でも私は、踊っていいのね。
その全部の思いがようやく報われたきがして、涙となってこぼれた。
『……ありがとう。』
その時、函南君は笑った気がした。
『頑張れよ。
………清花。』
清花が腰に付けていた、名前入りのゼッケンを見て、函南君は最後にそういうと、弓を持って去っていった。