「きよちゃん!ここではいぶちゃんじゃなくて、伊吹せ・ん・せ・い!」
「いぶちゃん今日も綺麗だねぇー」
「人の話を聞きなさーいっ!」
この会話も、恒例のように繰り返されている。
コツンと清花のオデコを小突くのは、朝川伊吹(アサカワイブキ)。
このダンス教室の講師で、
朝川野風のお姉さんだ。
彼女は月、水、土曜日に、この小さなダンス教室で、ダンスを教えており、
野風の友達である清花は、まるで遊びに行くように、毎週土曜日はダンスを教えてもらっていた。
彼女の妹である野風も、最初こそ一緒にやっていたものの、
『クネクネダンスの何がいいのかわからない。』
と言って、すぐに辞めてしまったが、
好きこそものの上手なれで、清花はひとりハマってゆき…
どんどん上達させていった。
今では土曜日のレッスンだけでは足らず、時々家を抜け出しては飛び入り参加で、踊りに来たりしていた。