えっ……。 清花は思わず、函南君の手を繋いだまま歩みを止めた。 「私の事…、思い出してくれたの…?」 「………。」 函南君がゆっくり、振り向いて、 さらさらの黒髪から覗く涼やかな瞳が、清花を捉えた。 冷たい目元を、微かに和らがせて。 「………………"清花"だろ。」 函南君が、清花の名前を、初めて出会った時の日のように呼んだ。