しばらく続いた沈黙の後…。
函南君の表情がふわっと崩れた。
黒い瞳に、あのいたずらを企んでいるような、怪しい輝きを再び宿したかと思うと、
「!?」
函南君に腕を掴まれて、いきなり立たされる。
びっくりして函南君を見上げると、函南君は真っ直ぐ鈴村君に、挑戦的に向けられていて。
「そんなの、俺だけが知ってればいいから。」
ぐいっと引きよさられて、体同士が近づく。
清花の心臓が跳ね上がった。
「誰にも教えねー。」
まるで、挑発するみたいな言葉。
口元に不敵な笑みを浮かべて。
呆然としている清花の腕を掴んだまま、教室のドアをピシャンと閉めて、二人は出ていった。