お互いに病気の事や、家の事を話したりはしていない
俺もできれば聞いて欲しく無いし、彼女もそれを察している
そして彼女もきっと聞いて欲しく無いはずだ
「君の笑顔はとても綺麗だね」
天使なんて俺は見たことが無いけれど、表現するならきっとそれが正しい
「そうなの?……ありがとう」
そう言って微笑んだ後、彼女はまた絵を描き出した
まだ、彼女は題名の意味は教えてくれない
ただ、あの日から題名の日付が1日ずつ減っていく…………それだけしか分からなかった
「……何?隼人ずっとこっち見て」
「いや、別に……今日も天気がいいなって……」
静かな風が木や草を揺らし、さらさらと流れ込んで来る
大きな木の間から光が差し込んで、静かに絵を描いている彼女を照らす
その空間だけが別の世界の様に