…いない。
あたし、蘭、慶しかいない。
「もしかして先に行った?」
蘭が言う。
駐輪場の方を見ても悠は見つからない。
置いていきやがった。
くそう、なんてやつ。薄情者ぉ〜。
チャイムがなったので、あたしたちは急いで体育館に入った。
入学式はもう始まってる。
あーあ、初日から遅刻だよ。
まぁ全部あたしのせいなんだけどさ。
あたしたち三人は悠の姿を探す。
涼しい顔して座ってる。
「悠〜、何一人だけ入学式うけてんの」
あたしが悠に言う。
悠はきょとんとした顔で
「まぁ、実際は寝坊した舞のせいじゃん??」
そうですけれども。
「悠、後で覚えときなよ」
慶が睨みながら言う。
「えー、忘れたな☆」
満面の笑みで答える悠。
今にも殴りかかりそうな慶を蘭が抑える。
まぁ、寝坊したあたしが悪いんだけどね。
でもあたしたちを見捨てて置いていかないでしょ、普通。
あたしの考えてる事が分かったのか悠が
「舞だって人の事言えないよなぁ、最初俺らのこと置いていったのは舞と蘭なんだから。」
…ごもっとも。
口で悠に勝てる人はいない。