悠と慶が自転車を駐輪場においてる中、あたしと蘭は走り出した。


「あ!舞!蘭!ずりぃぞ!待て!!」


悠が叫ぶ。


「へへ、お先にごっめーーん!」


「遅刻しちゃうから先に行くわね!!」


あたしと蘭も叫ぶ。


「俺らが遅刻するだろ!!」


悠が叫ぶ中、慶が無言だ。


珍しい…。


ん、いや、危ない。


あたしは本能で危険を察した。


「ら、蘭!もっと早く走るよ!!」


蘭も危険を察したようで、足を必死に動かす。


「蘭!もっと早く!」


「し、仕方ないでしょ!舞みたいに足早くないんだから!!」


慶の方を見ると、にやっと笑って走り出した。


やっぱりーーーー!!!!!


慶は早い。


早い、早い!!!!


転べ!!!


しかしあたしの願望もむなしく、慶に捕まった。

太陽の匂いが香る。


なんて、思ったのは一瞬。


おもいっきり頭掴まれる。


そしてものすごい握力で握りつぶそうとする。



「い、いたーーーーい!!!!」


「ごめんなさい、は?」


「ごめんなさいごめんなさい!!」


ようやく離してもらえた。


「よし、次は蘭…」


慶が蘭の方に体をむける。


「け、慶!早く行かないと遅刻!」


蘭が慶に言う。


「そーだね、じゃあお仕置きはまたあとで…。って悠は?」


慶が周りを見ながら言う。