「……真咲…」



そう呟いた俺を見て兄貴は、「じゃあな」と言って教室に戻る階段を降りていった。




『莉奈との約束の日は…今月だからその日まで事故から寝てたんだよ?ははっ』



相変わらず爽やかな真咲に俺は返す言葉が見つからない。



「いつに真咲になるつもりだ?」



『今からでもいいけど…まぁお前が今回乗り気じゃなさそうだからな』



気付いていたのか……たったこの数秒で。