だからその後の時間をすごく幸せに過ごしていた。


咲花が気づいてしまわないように細心の注意を払った。


でも、楽しい時間はすぐ終わりが来るように、俺の大切な時間も、終わりが来た。


「親父、なんだよ。話って。」


父と母はニコニコ笑って妹の夏生(なつき)は少し寂しそうに。


「引っ越すんだ。」


その言葉はどんな言葉よりおもく、深く俺にのしかかった。