私、井上紗奈は中学校で三田くんと出会った。

実際三田くんのことを知ったのは中2の冬。

二月に行われた、中学校の球技大会。

3年生が受験で忙しい中、とても楽しんでいた私たち2年生。

これは全員参加で、男女別で球技をする。

男子はバレーで女子はドッジボールだった。

ちなみに、クラス対抗はリレー。

正直なところ運動は全く持ってできないので、やりたくない。

『…痛い』

『…大丈夫かー??』

開始すぐに私は怪我をした。

大怪我ではなく、膝を擦りむいただけだけど。

大丈夫とは言ったけど、みんながあまりにも保健室に行けと言ったから仕方なく行く私。


『これだから運動は嫌いなんだ…』

渋々、保健室に向かう。

本音を言うと、保健室の先生は怖いから行きたくない。

まあ、転んだのは私が悪いんだけどね…。

『…ん?』

どこからか音が聞こえてくる。

というよりは声だったかも知れない。

『あ…男子は体育館でバレーか』

どおりで騒がしいはずだった。

なんとなくの好奇心で私は体育館を覗く。

『…勝ってるかな』

とりあえず、自分のクラスの男子を探す。

前から後ろまで全部見渡す。

私のクラスは真ん中辺りでやっていた。

『…ほかのクラスは休憩?』

私のクラス、A組と一番関わりが少ないだろうE組が対戦している。

『わ…あの人…』

私は自分のクラスの男子よりも、E組の人を目で追っていた。

とてもバレーがうまくて、おまけに顔もカッコよかった。

『………』

出会いってよりは一方的に見てただけだ、これ。

それにしても、こんな人を今まで知らない自分にびっくりした。

あとで知ったんだけどその彼の名前は、゛三田隼也゛だった。


これが出会い?なのだ。