もしかしたら、ここに彼らは住んでいるのかもしれない。
心を躍らせた千代はその家に駆けよりノックをする。

しかし、反応はない。
誰もいないようだ。




「お邪魔します」



ゆっくり扉を開き中にはいる。
中は薄暗く、本当に人の姿はなかった。



しかし、囲炉裏があったり、大きな布があったりと人が住んでいる形跡がある。
もしかしたら、本当にここが彼らの住処かもしれない。





「誰だ!」



突然後ろからドスのきいた声が響く。
千代は肩を震わせ振り向いた。




「鬼羅!」



振り向いた先に見た人物に目を輝かせ駆け寄った。
それはまさしく、鬼羅だったのだ。


鬼羅は、千代の姿に目を疑い固まった。






「貴様、なにを・・・」

「鬼羅に会いに来たのです!」





取り繕う事もなく、まっすぐに告げられた言葉。
鬼羅は言葉を失うのだった。