出会って間もない人を信じるなんて、どうかしてるって言われるだろう。
私もそう思う。
でも、拓人は信じられる。
なぜかそう思う。
あんなに素直に笑う人を見たのは、いつぶりだろう。
その笑顔を、信じたくなったのかもしれない。
私と拓人は、駆け出した。
病院の人に見つかると連れ戻されるから、拓人に引かれるままに走った。
しばらくすると、街に出た。
街の人が、私たちを珍しそうに見る。
私はふと、洋服屋さんのショーウィンドウを見た。
マネキンが着ている可愛い服。
その隣に映し出された、私の姿。
そうだ、今私は病室着を着ているんだった。
「服買おっか」
拓人はそう言って、手を繋いだまま店に入った。