拓人は悲しそうに微笑んだ。

「……ちょっと、出掛けようか」

そう言って私の手を掴んで、引き起こした。

「どこに?」

「いろいろなところ」

「でも私、眠れない」

ーーー死んじゃうから。

そう続けようとして口を開いたが、拓人の悲しそうな顔を思い出し口を閉じた。

「大丈夫。僕がそばにいるよ」

なぜか、根拠のないその言葉に安心した。

きっと私はすぐ死んでしまう。

それはどこにいても同じだ。

この病室にいても、特別な治療などしない。

それなら、私は、

拓人と外に出ることにした。